友人



  秋晴れの日に、私の老人ホームに三人の友人が尋ねてくれた。
「1」.
終戦時を同じ海軍技研で過した学校時代のAさん。藤沢で一人住まいしている。「夫の看護も終わり、私も老人ホームを考え始めたから」と息子さんの車で見学がてら遊びにみえた。乗員の顔の見えるほどに急下降してきた敵機。所員たちの若々しい顔。二人で会えばもう七十年前のことが、昨日のことのように思い出す。同級生で元気のある人は少なくなり、消息のわかるのは数人となった。又の再会を約して別れる。

「2」
新ゆり水彩教室のBさん、私より四歳下でお互い独りもの、いつも帰りには一緒に昼食をとっていた。「あなたが抜けたので私が絵の教室で最高年齢者になってしまった」と、ぼやく。私は二月からもう教室に出入りしていないのに、私に今年の忘年会にも出席するよう、幹事さんから伝言があったとのこと。こんな伝言を受けるなんて本当に仕合わせ。実際には出席は出来ないが、元気づけられる。



「3」
新ゆり「初めてのエッセイ」教室で、6年ほど一緒だったCさんが訪ねてきた。やはり四歳年下。彼女はエッセイ教室にもう十五年も通っている。よく書く材料があると思うが、易しい言葉で人の心の中に入ってくる文を書く人だ。

この教室では午後の授業が終ると、いつも先生をはじめ老若七,八人でレストランに行き、コーヒータイムをとっていた。今、一つの場所で単調な生活をしていると、時々、こんな会のざわめきを思い出す。





H24/12
 

inserted by FC2 system