湯島天神へ

二月二十一日、旅行倶楽部の「ミシュランで紹介された一つ星の店の和食と湯島天神の梅祭り」と題する日帰りツアーに参加した。この日は参加者が少なく十人、バスの席をたっぷりと占領した。

 本厚木を九時過ぎ出発、江田駅、横浜と二、三人ずつ拾ってゆく。大分時間がかかるが、窓から何気なく町の動きをみるのは好きなので退屈はしない。
 先ず日本橋の三井本店ビルの中にある一つ星の店「桜川」で昼食をとる。次々と出て来る料理はどれも工夫を凝らし味が良い。季節にふさわしく、お雛さまの器に盛られたりしている。最後のデザートまで美味しく、全員満足したようだ。

食事中、隣になった八十八歳の方とは以前マザー牧場の日帰りツアーのときお話しているが、 これに続いて、二月末にある関西方面バス旅行にも参加されるという。三泊なのに、と驚くと「腰が痛いけれど、これといって悪い所はないし、来年を、当てにしていないから」と言って笑う。誘われ、私も来年が今年より元気なわけがなく、心が動いたが、私にはやはり無理だ。



食事を終え、そこで、このビルの七階、三井記念美術館で催されている「三井家のお雛さま」の展示を見ることになった。昔の職人が精魂込めて作ったであろう段飾りの由緒ある立派なお雛さまが幾つも並ぶ。忘れかけていた長い黒髪に着物姿の大きな日本人形も新品のように綺麗な姿で飾られていた。暫く現代の空気から離れ、しっとりと落ち着いた子供のころの気分を思い出す。

ここの入場券は一般七百円だが、声をかけると出席者十人中、私をふくめ 五人が障害手帳を持っていることが判り、付き添い一人無料なので全員無料で入場できた。

 次にバスで湯島天神へ。目的の梅は早咲きの何本かは咲いていたが、殆どが三分咲きで少し時期が早かったようだ。しかしお天気がいいので、大分人が出ていた。天神さまにお参りのあと、バスの人たちと、腰掛けて甘酒を飲んだり、お互いに声を掛け合って境内を歩く。

 人だかりがしているので行ってみると、女の子が猿回しをしていた。ご挨拶から、輪くぐり、竹馬などと続く。太郎次郎の所で修行したとか。女の子の掛け声と共に猿が跳んだり、すねてみせたり、観客も猿の動きに引きずり込まれ、「次はがんばれよ」心の中で応援する。

 梅の盆栽や、お饅頭、黄な粉飴や餡子飴の出店の中を歩き、少し買い物をする。

夕方、予定通りバスは横浜に寄り、江田駅に着く。バスで本厚木まで戻ると遠回りなので、江田駅からはタクシーで帰宅した。

友人にこの旅行のことを聞かれたが、ちなみにこの湯島天神の日帰りツアーは一万五千九百円。普通よりすこし高い。けれど、ゆっくり行動しても気をつかわず、介護の資格を持つ人が同乗して、その安心も貰うのでこれは仕方が無いと思っている。時たま家を離れ、まだこんなツアーに参加できるのは嬉しい。

H20/03

 

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