湯のみ



郵便の荷物が届いた。何処からかと思ってみると、私の福島県に住んでいた女学校時代の友人、Iさんのご主人からだった。友人は二年前亡くなっている。幾重にも、青い布に確りと包まれていて、箱の中から出てきたのは、お湯のみだった。

一昨年も、お手製の紺色のお皿をいただいている。この時の事は、平成 二十一年十一月に私のH.Pに「紺色の皿」として載せている。使いやすいので今も愛用している。



三月、東日本大地震があった時、新聞やテレビを見ていると、Iさんの住所、福島県、田村市と言う名前が時々出てくる。地図を見ると、海から遠いが、放射能がどうかしら、とお見舞いの葉書を出したら、幸い被害なしと返事が来ていた。

お湯のみは、前のお皿と同じく、どっしりとして暖かい感じのものだ。口が開いているので持ち易い。私の名前と、麦の画と、青線二本の間に赤線一本がかかれている。

 添えられた便箋に書かれた文字を読むと、湯のみにかかれた三本の線のうち、青線二本は私と、もう一人健在の友人Aさん、間にある赤線はうちのマリ子と思ってください、とある。

この湯のみでお茶をのむとき、三本の線を眺めている。手触りがあたたかくて、この湯飲みも愛用している。





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