横浜へ行く

昔、社宅で一緒だった四人で横浜中華街に行った。子供が小さかったころ、東横線の妙蓮寺に社宅が出来てここで六年間過ごした後、会社都合で一斉にこの社宅から出た。それから四十六年経つ。

昨年秋、この社宅で親しかった方の訃報があり、急に年の近い四人で会いたいと、話がまとまり、みなとみらい線の終点、元町中華街駅のホームで待ち合わせた。頻繁に電話を交わしている人もいるが、一人は別れて以来である。お互い年をとって様変わりをした姿だが、すぐに馴れる。

中華街へ出て、駅前に大きく店を構えている重慶飯店にはいる。昼少し前だったが、満席に近い。ゆっくり時間をかけ喋りたいのでコース料理を頼む。年配者四人では量が多いかと思ったが食事は美味しく、殆ど残らなかった。



食事を終わり、山下公園に行って、海やかもめを眺めましょうと歩きかけた。しかしこの場所からは近いが、車のたくさん通る大通りを横切って海岸へ行くのが面倒になり、四人だからと、タクシーを止めた。山下公園と、言ったつもりだったが、いつかタクシーは、港の見える丘公園に向かう。久しぶりだからここでも良いかと、タクシーが坂を登るに任せる。

この公園に来るのは、近代文学館に友人の朗読を聞きに来た時以来で、いつの間にか四年経っている。(平成十六年、十一月、H・P秋の一日。)

お天気がよく、港の見える丘公園の見晴らし台からベイブリッジ、大小の船、海の青、ビル、白い倉庫、など遥か遠くまではっきりみえる。四人揃っての写真を撮る。すぐそばに見えている臙脂色の大仏次郎記念会館に行くため、噴水のある公園の中央道を通ろうとすると、入り口で若い男性に申し訳ないが、と、制止された。人がたむろして映画の撮影中だった。

私は大仏次郎記念会館に入るのは三度目だが、他の人達は初めてである。館内の道順に沿って展示物をみてまわる。写真の大仏次郎は好男子だが、その人を囲む友人たちの顔も、それぞれ現代の人が持っていない落ち着きと品があるように思えた。猫好きだったそうで猫がたくさん列になって食事している写真がある。ここで猫柄のハンカチを買う・

会館を出て隣の喫茶店に入る。陶器製の大きな猫が二つテーブルの上にでんと置いてあった。ゆっくりとチーズケーキを賞味しながら、又の機会を約束した。
 
H21/02

 

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