痩せる


姉が、「老化はなだらかに来ると思っているでしょうが、ガクガクと段になってくるのよ」と教えてくれていたが、この頃それを実感している。物忘れ、判断力、歩行の不安定など、一月ごとに自分が、おかしくなったのを感じる。

私の祖父母や父母、それに夫の親たちも皆七十歳前後でなくなっているので、私は身内の八十歳代の老人に接する機会がないまま、八十代を過ごしている。今、一歩先をゆく姉がお手本になってくれている。



老人は錘を体の巻きつけたように重いと聞いていたが、今、我ながらバランスが不安で、よたよたとしか歩けなくなった。私は杖ではなく、体重が軽減されて楽に歩けるように感じるスワニーのキャリーバッグと一緒に歩いている。太り過ぎているので、流行したバナナ療法もしてみたが、すぐ餡菓子の魅力や、食事の美味しさに負ける。この年まで元気に自由に生きてきたのだから仕合せ、まあ、何かあってもいいか、と思ってしまっていつも自分に甘い。

昨日畑道を歩いていると、畑のそばの家の奥さんから声をかけられた。「お目にかかってよかった。この頃ちっともお見かけしないので、先日、お宅の近所の方に聞いたら、お元気ですよ、と聞いて安心したんですよ」と言われる。「この頃タクシーを多く使うようになってこの畑道をあまり通らないから」と説明する。只、立ち話をするだけの人だが、同じ様な年齢だとなんとなく双方連帯感があって喋りたい。

その方は卵を買うだけでも、用事を作って、毎日私の苦手とする坂を往復なさるとか。最近、鎌倉の仏像を見て回ったといわれるのを、羨ましく聞く。先ず二キロでも減らしてと、考えながら転ばないように、とぼとぼと坂を下りた。


 H22/02

 

inserted by FC2 system