厄払い


 この年の初めから、私や周りに思いがけなく悪いことばかりが続くので、溝口神社で厄払いをしてもらうことになった。

夫は末弟で、宗教には関心の無い方だったが、二十一年前夫が亡くなったとき、家の宗教
が神道なので墓地のある春秋苑の紹介で溝口神社とご縁ができた。それ以来、夫の祭祀ごとにこの神社にお祭りの依頼をしている。



雨の日の四月十四日(土)に私、長男、次男、都合がついた孫娘二人の五人が、溝口神社の待合室に集合した。先客は生まれたばかりの赤ちゃんを囲んで、若い夫婦と祖父母たちの集団で全体がお祝いの気分につつまれている。私も若い祖父母になり立てのときを思い出した。

時間がきて、隣にある神社の祭壇の前に五人並び、神主からお払いを受けた。
費用は決まっていないそうなので、適当にする。

去年、垣根越しで話を済ませていたお隣の家に、ちょっとした用事で初めて座敷に上がらせて頂いたとき、その床の間の様子に、私は驚いた。そこの七十過ぎの奥さんは三人姉妹の長女で、庭に二軒家を建てて住み、十数年前、ご両親を看取っておられたが、床の間には大きな両親の写真を飾り、思い出の品が並べられ、庭に咲いた季節の花が豪華に花瓶に生けられている。「ずっとこうしているの」と言われるのを聞いて、ただただ感心して、その場を辞した。

毎日神棚を拝し、仏壇でお経を上げている友人を幾人か知っているが、私の場合は、まさにこのときだけの「苦しいときの神頼み」となっている。




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