客船に乗る



六月、老人ホームで希望者に「客船に乗って食事をする会」を募った。私のホームからは十一人が参加、うち一人は車椅子の方で、何度目かの人もいる。

当日、横浜の港にゆくと大型客船「ROYALWINGN」が横付けになっていた。私のいるホームと同じ制服を着た職員さんをたくさん見かけるので聞いてみると、同じ会社の傘下十五の老人ホームが参加しているそうである。順番を待って、乗船を前に記念撮影。ホームの職員さんの手助けを受けながら乗船して、決められた客席に着く。船はゆっくり横浜港湾内を回って、海から見える湾内の風景をみせてゆく。

先ず目立って見えるのが、半円形の変わった形をしたコンチネンタルホテル。此処は、出来たばかりのとき、早速、夫の一周忌をしたり、友人と泊まってみたりした処だ。



海に架かっているベイブッリジは平成元年にできたもので、勤めていた職場から近かったので、早速橋の下に出来た展望台から、往復する船を上から眺めた。海辺にある山下公園は、数え切れないほど行った。整然と手入れされた花壇や、赤い靴の女の子像の辺りを散歩してから、体に触れそうに飛び交っている鴎と遊んだ。この客船から辺りの景色を見ると、元の巣に帰ってきた気分がする。

途中ピエロの姿をした芸人が席に来て簡単な芸をしてみせ、次ぎに写真屋さんが回って来たので船長の帽子をかぶって撮って貰う。

昼食に出された中華の食事は、味も量もよく、美味しかった。日常の気分と離れ、気持ち良くすごした一日だった。




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