盆踊りと花火


盆踊り

七月の末夕方、老人ホームの在るこの土地の神社の盆踊りに行った。

若い頃は、家族四人で、住んでいた土地の神社の盆踊りをよく見に行っていた。大きな神社だったので金魚つりやべっこう飴、ヨーヨーなどの出店が沢山あった。東京音頭や炭鉱節の唄は何となく知っていても、踊り方を知らないので皆の輪の中に入って踊ることは無い。一人住まいになってから、近所の神社から、景気のいい太鼓の音や、盆踊りの歌が風にのって大きく聞こえてくることがあるが、もう神社に足を運ぶことはなかった。

ホームの人達と一緒に車で神社の祭り会場に行く。車では上がれない坂道が少しあるので、ある程度は歩けないと無理なところだ。鮮やかな色あいで華々しく飾りたてた盆踊りの屋台の上で太鼓や笛のお囃子をしているのは、元気いっぱいのお揃いのはっぴを着た子供たちである。歌に合わせて、浴衣姿の女達が屋台の上で踊っていて、その下でそれを囲むように老若男女が踊って回っている。ホームの仲間でも踊りの出来る人はすぐその輪の中のはいって、格好良く踊っているが、今まで盆踊りを見るだけだった私は真似をしてみたが、とても出来ない。来月はこのホームで盆踊りをするそうで、それまでに慣れた人が盆踊りの所作を教えてくれるそうだ。




花火大会

盆踊りの翌日、ホームで花火大会があった。場所はホームの横にある空き地である。夜六時半に会場に行くとすでに椅子が数十人分、並べられていた。自分で歩ける健常者とあまり自由のきかない車椅子の人と二つの大きな輪になっている。

竹ひごの長く付いた花火が一本づつ配られ、端から火をつけて貰う。自分の花火の流れ落ちる光や、よその人の持つ花火の、変化してゆくのを楽しむ。花火一本終るとそれを回収、次ぎの一本が配られる。自分で火のついた花火を持ったのはもう何十年ぶりだろう。

ひとしきり、めいめいの花火を終えて、次ぎは草むらに用意して置いてあった仕掛け花火、数種類が出てきた。私たちが渡された花火よりはるかに大きい花火が、台の上に幾つか固定してセットされている。一斉に火をつけると、相当高くまで花火が上がって其の周囲に明るく華やかな光りを放っている。終盤になると土の上にころころとこぼれ落ちる光の玉もあって其の風情が好い。花火が大好きだったこどものころを思いだした。私たちはただ腰掛けてきれい、きれいと見ているだけだが、準備された職員の方々は随分苦労されたのだろう。




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