暮らしの中
 
チャイム

夜の8時、チャイムが鳴る。あやしみながら応答すると、今まで話をした事の無い近所の家のご主人が立っておられた。

「犬の散歩の途中だがお宅の家の方を見ると、勝手口の電灯の上にある橙色の回転灯が光って点滅している。こんなのは今まで見た事が無いのでお知らせする」と言われる。

勝手口の外へ出てみると、橙色の光が派手に点滅している。この機器自体が勝手口に付いているのを知らず、何物か判らず迷ったが、夜遅いので、セコムに相談の電話をすると、これはセコムの物です、とすぐ若い人が来てくれた。パソコンのADSL機器が近くにあり、相性が悪いのかもしれないと言う。3日して工事の方が来てアダプタをつけた。



後日、ヘルパーさんに話すと、私が外に向かってSOSを出しているように見えたのでは、と言われて、そうかもしれないと思った。セコムに聞いてみると、家の中でブレーカーが落ちたり、ガス漏れ等の異常があった時、家の中の機器が音を出すが、同時に外の機器がチカチカ光るのだと初めて知った。
        

友人の電話

半年ぶりに、横浜に住んでいた頃、仲良くしていた86歳のB さんに、電話をしてみた。1人息子さんは大きく事業をされているが、あまり行き来が無い。

年令と共に故障が出て、趣味の事も無理になり、「生きていてもつまらない、目的が無い」と言う愚痴をこの10年、聞かされ続けてきた。2年前から飼っている小さな犬の世話だけが生きがいになっていた。しかしこの日の声が明るい。

Bさんが若い頃、実家で同居していた長兄の娘、67歳の姪が、事情がありBさんの庭に建つアパートに住むようになった。今その姪御さんはB さんの食事を作り、食事を一緒にし、犬の散歩も手伝ってくれる。昔から気心が良く判っている姪なので、毎日がとても楽しいと言う。

50坪位の土地の中、母屋の前に立つ6部屋の学生用アパートは、B さんが40代のころ、ご主人が交通事故で再起不能になった時、実家の長兄さんが、建てて下さったものである。当時とても有り難がっていた。彼女もスナックに勤めた。

40年経って、自分の娘が、其のアパートで暮らすなんて長兄さんは想像もしなかったろう。「叔母さまには百よりもっと長生きして欲しい」と」言われ、涙が出るほど嬉しいと言う。自分のいなくなった後は、母屋に姪が家賃無く住めるよう、遺言を書いたそうだ。

H18/02

 

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