怪我・・・1



二月の十七日(日)、ホームに業者が入り、廊下や部屋にニスが塗られ、全体が明るく綺麗になった。そのとたん、私は、ホームの自室のトイレの中で滑って転んだ。体重が左手首にどっと懸かる。手首が異様に痛い。早速、ホーム長の運転で、介護士さんにともなわれ、少し遠い日曜救急当番の病院に行った。「骨が折れている」といわれ、「痛い」と悲鳴を上げる治療が数回。添え木を当てた三角巾姿でホームに帰った。次ぎからは近所のクリニックに代わる。

三角巾で首から吊られた自分の片腕は意外と重く、首が疲れる。その日からホームの介護士さん達に一日中、お世話にされる日々となった。まず四階の自室から一日三回の一階の食堂への往復には、又転ばないように往復、毎回介護士さんの付き添いがつく。



片手が使えないので、自室のトイレでのズボンの上げ下ろしなどが半端しか出来ず、身づくろいを手伝ってもらう。夜は眠れなければデパス一錠とさ場合により半分足して飲んで良いと、許可を受けているが、ふらついて又転んだら大変と、トイレのときは必ず、ブザーを鳴らして上履き靴を履かせてもらなど、介護士さんの介助をうける。いちいち面倒をかけてもと、介護士さんに黙ってベッドから降りようとすると、信号のマットが作動しその信号が直ちに先方に行ってしまう仕組みになっている。

二週間してクリニックで左手首を中心に石膏で固める。石膏から外に出ている指をそれなりにグー、パーして動かさないとそのまま一つに固まってしまうからと注意を受ける。石膏の重さが更に首まわりにかかり、首が辛い。一階のホームの売店等に行くにも、杖を持ち介護士さんを呼んで転倒しないように伴って歩いていただく。

石膏で固めて二週間後、何時ものように、介護士さんにつきそわれてクリニックに行く。この日は左手の石膏をはずす日だ。腕は切りませんから絶対安心して、と言われても、大きなモーター音で石膏を裂かれるのはなんとなく嫌な気持ち。石膏を小さくして、元に戻し、また包帯で巻く。またグー,パーをしてよく指を動かすように言われる。

お風呂は大きなビニール袋で左腕を覆い、頭や体を洗ってもらう。湯船には入れないので深い桶に入れたお湯に足をいれて、足湯で温まりながら、体に掛け湯をたっぷりかけて貰う。こんなのは家庭ではなかなか出来ないだろうと思った。

石膏を小さくした二週間後の四月六日、医者に行く。石膏下の左手の指はグーパーしていたはずだが掌からか浮いていて、右手の様なこぶしは作れない。左手は全体が大きく赤くはれ、熱を持ち、指は右手の太さの倍以上だ。この指の太さではグーの形をするのが無理である。
「今日から早速」とリハビリ室によばれた。太陽燈の様な電気で暖める機具の中に左手を入れる。左手はもともと大きく赤くはれてく熱を持っているのに、さらに熱を加える必要があるのかと心配になった。
毎日通うように言われたがとても無理だ。ホームの方々と相談しながらやってゆこう。




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