春の半日


風は強いが、暖かい日差しに誘われて家をでる。杖に頼りながらだらだら坂を下って行くとすぐ、紅白の混じった ボケの花の咲いている家の前に来た。
この家には6,7年前まで、ゆったりとした風情の白い犬がいて垣根から鼻先をだしていた。
いつもは思い出さないのだが、このボケの花と妙に似合っていたので、ボケの花が咲く頃この家の前を通ると白い犬を思い出し、暫し足を止める。



又坂を下ると近所の方と出合った。私よりひとまわり下だが、数年前大病されてずっと養生されていた。
今は、毎日水泳に通われているとか。
5分ほど立ち話をして別れ、平らな道まで来ると苗屋さんがある。買う気は無いのだが覗いてみる。
パンジー、えにしだ、芝桜などいろどり良く並んでいた。

丁度12時だったので定食やの前でメニユーを眺めていると、本屋さんの奥さんが通られ、「調子はいかがですか」と声をかけて下さる。
定食屋に入ると「トロ鯵定食」か「トロオム定食」のどちらかにしょうかと迷ったが、家で魚を焼く時のにおい思いだし、ここでは、「トロ鯵定食」にした。
私のいつも買うのより二倍位大きく、油が多く、大根おろしがたっぷり付いていて美味しかった。

帰りがけトイレに行き自分の席の戻ったが、コートが無い。
慌てて探していると店員が「一つ前の席ですよ」と教えてくれた。この頃はこんな事が多くなった。
駅前のスーパーで買い物をする。荷物が重いので、スーパーの店員さんにすぐそばのタクシー乗り場まで運んでいただく。
タクシーに乗って楽に家に帰った。
体の弱った者には随分暮らし易い世の中に変わってきていると思う。


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