浜名湖旅行

昔の職場のOB会から、「2泊3日のグリーン車で行く浜名湖雄踏温泉」の案内が来た。今まで、そのような案内が来ても歩けなくて迷惑をかけるのではと控えていたのだが、去年の北海道旅行にも行かれたHさんから、「同室で行きましよう」と声がかかった。

このHさんは90歳で、今までに私の知人の縁談を5組もまとめて下さっている世話好きの方である。お声のかかったままに、勇気を出して参加する事にした。Hさんも足元が頼りなく、私と同じく4輪ミニカートを持って外出されている。

1日目は、昼頃、新横浜駅を出発して、ゆっくりするのは中1日だけ、普通のツアーに比べ相当割高になるが、体力の不足を金銭で補わなくてはならないので仕方ない。

当日参加するOB会の80歳前後の13人「男3、女10」は新横浜駅に集合し新幹線に乗る。この旅行は、旅行会社の募集した100人程のツアーの中に、私達はグループとなって参加する。

快適な車中で用意した昼食を済ませ、浜松駅で降りてホテルの迎えの車に乗り、湖に面して建っている浜松ロイヤルホテルに着く。

ホテル10階のツインの部屋に案内される。窓から見ると広々とした浜名湖の景色が広がっている。一休みして大浴場へ。大きな風呂の一隅には手摺があり、安心して湯に出入りする。

夕食は懐石料理、きれいに盛られたお料理が次々に運ばれてくる。お刺身は流石、特に美味しい。夕食終えて、幹事の部屋に集り、持ち寄りのお酒やお菓子でミニパーティをする。どの方とも中年時代を一緒に過ごした間なので、話題は豊富にある。Hさんは中心に座り、お酌をしながら座を盛り上げる。



2日目、ツアーの方々は9時出発のバスに乗って観光に行かれたが、私達はゆっくり休んで、独自にバスを頼み、10時にホテルを出た。最高齢のHさんは、いつもバスの一番前の席である。

好天気に恵まれ、ロープウエイで山を登り、浜名湖の全景を眺める。湖は思っていたよりずっと大きく入り組んだ形だ。オルゴールミュージアム館に入り、豪華な装いの中でオルゴールの素敵な演奏を暫く聴く。龍潭寺にある小堀遠州設計の、多くの石で心と象られている風情ある庭、方広寺の五百羅漢像、かつての花博の跡地など、この土地生まれの運転手さんの丁寧なガイドで観光する。金盞花が道端に列を成して鮮やかに咲いていたのが印象に残る。

この夜、カラオケがあり、私は参加しなかったが、Hさんは率先して行かれた。旅行前日、同居の60歳半ばの、娘さんがピアノを弾いてくださり、1時間ほど歌を練習されてきたそうである。

私が、娘さんは90歳のHさんのこの旅行への参加を何と言われているの、と聞くと「何処へでも行っていらっしゃい、毎日を楽しく過ごして欲しい」と言い、危ないとか、心配という言葉は一切ありませんよ、と言われる。これといって体の悪い所はないそうだ。娘さんから借りた素敵なコートを着てこられた。

3日目は午前にお土産その他を宅急便で送り、昼の新幹線に乗り、3時過ぎに家に着く。無理をしなかったので、翌日は殆ど疲れない。皆と一緒に泊まりの旅行が出来たことは嬉しく、暫くの間、その日々の事を思い返していた。

お互い年なので何があっても覚悟の上、それに、多少周りの世話になってもいいと、誰もがそんな事を考えての旅行なのだと思う。

H18/05

 

inserted by FC2 system