葉書

ピースボートで世界一周、百日間の旅行中の孫から葉書が届いた。女の子22歳である。今、旅の半ばを過ぎたころか。

いろいろの生き方があるとは思うが、他の孫達とは違って、大学に行かず、フリーターをしている。頭のいい子なのに、私の考えからすると、どうしてだか解らず、何となく気に懸かっている。
しかし、若いときのこんな旅行は、一生のプラスになるだろうと思っている。



葉書には、毎日が楽しく、驚いたり、感激することばかりと書いてあり、張り切っている様子が文面にあふれている。英語の大事さが解って、今船のなかで英語の勉強中ともある。
しっかりした文章で内容も良いが、葉書を見ると、4ミリにも満たない細かい字がぎっしりと横にならぶ。祖母の立場として眺めると、字の形が良く、誤字も無く綺麗だ。こんな所を見て、これなら大丈夫か、余計な心配することもないのか、と思う。

五人の孫の中で最後に生まれたこの子は、他の孫達と様子が違い、異常に夫に懐いた。はいはい出来る頃から、大勢の他人のいる集りでも、中に夫を見つけると迷わず親を離れ、当然のように夫の所にゆき、その膝の中に入る。
心臓の弱った夫が二階の部屋で休んでいることを知ってからは、家に来れば一目散に階段を這って上がり、夫の蒲団のそばにゆき、なかなか戻って来ない。長い時間経ってから夫に抱かれて下に降りてくる。後で、何をしていたのかと聞くと、夫は「いろいろお話を聞かせてくれたよ」と言う。
夫はクールな性格であっさりしたのが好きである。孫達にも素っ気なく機嫌を取るような言動は殆どないので、この子が夫に懐くのを周りから不思議がられた。
顔も姑に似ているし、私は絶対、姑の生まれ変わりだと、本気で考えていた。

今時の旅行らしく、沢山ビデオや写真を撮ってすぐ日本の親元に送っているようだ。「お土産を楽しみにしてください」とあるので、現れる日を待っている。

30年前、初めての海外旅行で買ってきた小さな瓶に、庭のコスモスを挿した。

H18/11

 

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