学校と花



私のいた小学校の教室の花瓶には、誰かがお花を持ってくるので、いつもお花が差してあった。庭の水仙や、チューリップなど。時には桜の枝もある。こんな時は先生が適当に切って整えられていた。二,三年生のころ、友達の持ってくるお花が羨ましく、私も、たまには持ってゆきたいと母に言うと、何がしかのお金を渡された。

学校への行きがけに、花屋さんに寄り、どの花にしようかと全体を見る。すぐに決まった。アネモネは、この時、はじめて見た花だったが、花屋に並んでいる花桶の中で、一番可愛らしいと思った。この時買った数本のアネモネはずっと私の記憶に中に残り、アネモネを見ると教室の花瓶に暫く納まっていた私のアネモネを思い出す。 



もう一つ記憶に残っている花は、やはり、二,三年生のころか、私のいた小学校は付属校なので、校舎を抜けて、学校の寮に近い所に、大学の経営するに小さい学用品等を売る売店があった。いつもは遠回りして友人たちと帰宅するので其処は通らないが、其の日は、近道をして、一人で売店の前を通った。バケツの中に今まで見たことのないピンクのふんわりとした花びらが重なっている美しい花が数本入れてあった。店番の人に聞くと、学校の構内の裏に咲いている芍薬という花だという。そのやさしい姿に暫くみとれ、散々迷った挙句、買う事に決めた。中で一番綺麗と思う花を一本選んだ。

手にした芍薬の美しさを、眺め、眺めして、満足した気分で家に向かった。しかし綺麗だ、欲しいからといって、勝手にお金を使ってよかったのか、と家が近くなるにつれて心配になった。母がなんというか。そうだ、妹にやってしまえばいいと、家に着いたとたん、玄関に出迎えに現れた四つ下の妹に、「おみやげ」と言って渡してしまった。後、母がなんと言ったか覚えていないが、叱られはしなかった。このころ自分の責任で買っていいものは文具以外無かった。




H26/06
 




 
inserted by FC2 system