椿山荘の一日

    
八月十一日、今年も東京文京区にある椿山荘の大正琴まつりに出かけた。舞台で皆と一緒に出演するだけの体力が無くなったので去年は出場せず、この三月、十二年やっていた大正琴のお稽古を辞めた。

入場券を頂いたので、近くの友人を誘って見に出かける。冷房のきいた小田急線を降り、すぐ新宿からタクシーで椿山荘に行ったので暑さには遇わない。

五階の広い会場は、今回はアントニオ古賀さんの演奏もあるので男性の観客も多く、会場は一杯の人だった。出場の二十四組中、私の所属していた産経学園新ゆりグループの演奏は前半にあったので、身を入れて見る。

先生を始め、ついこの間まで一緒に練習や食事をしていた仲間たちが出ているので、良い演奏が出来るようにと願いながら聞く。「河はよんでいる、私の回転木馬、すみれの花咲く頃」と、いつものように、しゃれた感じに良く出来上がっている。楽しげに体をゆらしていた。

中休みに出演されたアントニオ古賀さんの久しぶりに元気なお姿を見たが、さすがに芸達者で人を引き付ける。ギターを弾きながらの歌が良かった。共演の女の子の持っている大きな金属のボウルを切ったような形の楽器は初めてみた。

会の後半には私の好きな「千の風」の曲を弾くグループが四組もあった。同じ曲がこんなに重なって競演のようになるのは珍しいが、それぞれの指導者によって、弾きかた、雰囲気が違う。楽譜どおりに上手に揃って弾いているのより、多少乱れてもふんわりと風の気分を感じるのが良かった。

 会の終り近く、友人は用事で帰ったが、私は最後の先生がたの合奏まで観る。



 昔からなじみのこの椿山荘は縄張りのような親しさがあるのですぐに帰るのは惜しい気がする。数年前、ここで小学校のクラス会をしたあと、残った友人とカレーの食事をしたのを思い出し、レストランに入ってカレーを注文する。

まだ明るいので、三重の塔を中心とする庭園の景色をみながら一人食事をしてコーヒーをのむ。少々歩くのが不自由になったが、いまだに体が動いて、こんな気ままな時間を過ごせるのは有りがたい。

新宿までまたタクシーで帰る。余力があったので、小田急デパートに寄って少し買い物をした。
 
H19/09

 

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