河口湖と富士山

去年の秋の素晴らしい紅葉と一竹会館の雅楽がまだ印象深くの残っているが、この九月の初めに又河口湖へ行った。誘って下さったのは、前回と同じく、何回も一緒に旅行している二歳下の友人Yさんと、運転してくださるその息子さんである。

この日は快晴にめぐまれ、朝十時に、東京の狛江から仲町台の老人ホームまで、迎えに来てくださる。おなじみの山中湖に浮かぶスワン型のボートを右に眺めてから、目的地の「花の都公園」に着く。大橋を渡り、公園の中にはいると、見渡す限り、花、花、花。ことに百日草は、今一番のさかりで色が冴え、赤、白、黄、桃色と色が混じって、とても綺麗だ。ひまわりはあちらこちらに広く植えられているが、今黄色く咲いているのは大輪のエリアだけでこれから続々とほかの場所のひまわりも咲いてゆくそうである。

少し坂道になったところにある、丸く葉が刈り込まれた紫陽花の群生や三連大水車に着く頃にはすっかり疲れて、私の足はやっと歩いて、のろのろ状態になる。息子さんが老人二人の相手だからと、役所から借りて車に積んであった車椅子に、早速私が乗ることになり、息子さんに押していただく。私は車椅子に乗るのは初体験だ。Yさんより私のほうがずっと体重があるので、さぞご苦労されただろう。着いた明神の滝は、山から流れてくる水が、幅広く、しかも幾条にもわかれて、細い滝の、カーテンの様に作られている。

戻って、大きな建物のフローラルドームに入り、一、二階の珍しい植物や、展示されている胡蝶蘭の鉢の数々をみる。夕方、河口湖湖畔にある富士山が正面に見える宿に着いた。



翌日も快晴。「今日は富士山五合目まで車でゆく予定」と初めて聴かされて驚いた。今まで遠くに、みるだけだった富士山に行けるとは考えていなかった。息子さんは慣れた道のように樹海に沿っているなだらかな坂道に車を走らせる。

五合目につくとそこは大きな広場になっていて、すでに大勢の人達がいた。片側は何軒もの店が登山土産を売ったり食堂を開いたりして小さい商店街のような様子になっている。中央の広場にはこれから富士山の頂上に登ろうとしている人たちが山支度をして、たむろしている。山の方をみると、土肌が坂になり其の先に富士山のそびえているのがみえる。傍にある囲いの中には馬が数頭、待機していた。辺りを歩いている人達をよくみると、三分の一くらいは、老人クラブの団体バス旅行か、と思うほど年配者が多い。

高台にある富士山小御岳神社に行って参拝する。「五合目富士山小御岳神社」と書いた開運の御札を記念に求め、神社のすぐ傍に在る土産店で、木をけずって茶色のまだら模様のつけた太い杖「千円」を買った。

混雑しているので、あっさりと昼食を済ませ、次にお土産にする葡萄を買いに勝沼への道を行く。勝沼に着くと道の左右にある家は、すぐ傍がふどう棚になっていて、家の前にある台にはいろいろな色の葡萄が積まれ、買い手を待っている。息子さんのなじみの葡萄屋さんに行って休憩した。

濃紫紺、みどり、臙脂色の三色のもぎたての葡萄をつめた箱を何箱か車につんで帰途についた。途中お寿司屋さんに寄りゆっくり休憩する。七時ごろ、仲町台の老人ホームまで送っていただく。そのうち、この日のアルバムを作って下さるとか。

お土産に買ってきた葡萄はとても美味しく、杖は、太くて軽いので、ホームで愛用している。





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